何が起きたか
2004年1月、中国の電子機器メーカーTCLは、フランスのトムソンのテレビ部門と自社のテレビ事業を統合すると発表した。取引額は約2億3000万ユーロと評価された。新会社TCL-Thomson Electronicsは台数ベースで世界最大のテレビメーカーとなり、TCLはトムソンとRCAのブランドを獲得し、ヨーロッパと北米への足がかりも得た。
この合弁事業は黒字化しなかった。ヨーロッパ事業は高い人件費と運営コストに苦しみ、北米のブラウン管(CRT)事業は予想を上回る速さで縮小した。中国側とフランス側の経営陣の文化的な隔たりが統合を遅らせた。2006年末までに、TCLは20億元を超える損失を計上した。
2007年、TCLはヨーロッパのテレビ市場から撤退し、合弁事業は破産を申請した。TCLは一部市場向けにトムソンブランドを保持したが、この取引を推進した「世界的テレビリーダー」戦略は放棄した。
かかったコスト
TCLは20億元を超える損失を負担し、薄型テレビによって時代遅れとなった高コストのブラウン管事業を引き継いだ末にヨーロッパから撤退した。
なぜ起きたか
TCLは規模とブランドを手に入れたが、薄型テレビが主流になりつつあったまさにその時期に、衰退するブラウン管技術に依存した事業を引き継いだ。
ヨーロッパの人件費と運営コストは中国よりはるかに高く、中国国内でTCLの競争力を支えていた利益率を損なった。
フランス側と中国側のチームの統合は、言語、経営スタイル、意思決定権限をめぐって行き詰まった。
この買収は、トムソンの事業を立て直す検証済みの計画ではなく、「世界一になる」という戦略的野心に突き動かされていた。
教訓
首位を買っても首位を維持できるわけではない。TCLは、依拠していた技術が時代遅れになり、参入した市場が高コストになったまさにその時に、世界最大のテレビ事業を買収した。
その後
TCLはヨーロッパから撤退し、国内事業を中心に立て直し、後に液晶パネルの製造とコスト規律を通じてテレビ事業を再構築した。トムソンとの取引は今も、中国企業による初期の国境を越えた買収が統合能力を超えてしまった教訓的な事例として教えられている。
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