何が起きたか
フェイスブックは2018年11月8日にPortalを発売した。ビデオ通話用に設計された、カメラ内蔵のスマートディスプレイである。標準モデルのPortalは199ドル、大型のPortal+は349ドルだった。この端末は話者を追跡して自動でパンやズームを行うAI搭載の「スマートカメラ」技術を採用し、家族とのビデオ通話を最も簡単に行う方法として位置づけられていた。発売はケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルが発覚してから7か月後のことであり、フェイスブックのデータ慣行は同社史上最も厳しい世間の監視にさらされていた。
プライバシーへの懸念は初日からこの製品につきまとった。Portalのデータは広告ターゲティングに使われないとフェイスブックは主張したが、後に通話の頻度や時間、アプリの利用状況といった利用メタデータが広告に活用され得ることを認めた。レビュアーはこの端末を「常に監視し、常に聞いている」と評した。フェイスブックは物理的なカメラカバーを追加し、映像コンテンツは分析していないと明確にしたが、フェイスブックブランドのカメラを居間に置くことをユーザーに求める製品にとって、信頼の隔たりはあまりにも大きかった。
2022年6月、メタはPortalの一般消費者向け販売を終了すると発表した。2022年11月には、未発売だったメタのスマートウォッチの中止とともに、Portalの終売が確認された。この転換は法人向けビデオ会議へのシフトとして説明されたが、その時期はメタが約1万1000人を人員削減したことと重なった。端末のサポートは2032年2月まで継続する予定だが、一般消費者向け製品ラインは終焉を迎えた。
Portalのカメラは、どの機能でも埋め合わせられない負債だった。広告ターゲティングに利用される利用メタデータが懸念を裏付け、低調な販売と1万1000人の人員削減が2022年の終売につながった。
なぜ起きたのか
ケンブリッジ・アナリティカの年とも言える時期に、フェイスブックブランドでカメラ搭載端末を発売したことは、プライバシーへの懸念が製品の機能を覆い隠すことを確実にした。
メタは利用メタデータが広告ターゲティングに活用され得ることを認め、消費者がフェイスブックのカメラを自宅に置くことをためらわせた、まさにその懸念を裏付けた。
スマートディスプレイ市場はすでにAmazon Echo ShowやGoogle Nest Hubで混雑しており、これらは家庭用ハードウェアに関して消費者がより信頼する企業の製品だった。
メタの法人向けへの転換は、戦略転換を装った撤退だった。一般消費者向け製品は、投資の継続を正当化できるほどの普及を達成できなかった。
教訓
ブランドへの信頼は、家庭用ハードウェアの基盤である。フェイスブックのデータに関する評判は、Portalのカメラをどの機能でも埋め合わせられない負債にした。信頼されていないブランドは、信頼に依存する製品を発売できない。
その後
メタはPortalの技術を法人向けビデオ会議製品と、Meta Questヘッドセットのパススルー機能に振り向けた。一般消費者向けPortalラインは長いサポート期間(2032年まで)を得たが、後継機はなかった。この事例は、ブランドの評判が製品の存続可能性から切り離せないこと、特に消費者が私的空間への物理的なアクセスを委ねることを求めるハードウェアにおいてそれが当てはまることの証拠として引用されている。
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