何が起きたか
2020年8月11日、レブロンへの18億ドル融資の管理代理人を務めていたシティグループは、化粧品会社の貸し手たちに約800万ドルの利息を送るはずだった。ところが、同行の決済ソフトウェア「Flexcube」への誤った入力により、融資元本の約9億ドルが貸し手グループの一部に送金された。支払い画面には資金を送る方法が複数用意されていたが、操作者は貸し手に代わって利息を支払うのではなく、貸し手への元本返済を選択し、システムはその差異を検知しないまま送金を実行した。
一部の貸し手はこの思わぬ入金を返還した。しかし、ブリゲード・キャピタル・マネジメント、HPSインベストメント・パートナーズ、シンフォニー・アセット・マネジメントの3社は返還を拒否した。シティグループはニューヨーク連邦裁判所に提訴し、2021年2月、ジェシー・ファーマン判事は驚くべき判決を下した。ニューヨーク州の「価値の給付による免除(discharge for value)」法理により、貸し手たちはレブロンがなお負う債務と相殺する形でこの資金を保持する権利がある、というものだった。この判断は2022年9月の控訴審で覆され、第2巡回区控訴裁判所は資金の返還を命じた。
これとは別に、2020年10月、米国の規制当局はシティグループに4億ドルの罰金を科し、リスク管理と決済技術の抜本的な見直しを命じた。その理由として、まさにこの送金をすり抜けさせた統制上の不備が挙げられた。この一件は、紛らわしい支払いインターフェースとストレートスルー処理が組み合わさると、誰も気づかないうちに9桁の金額が動いてしまうことを示す教科書的な事例となった。
かかったコスト
レブロンの貸し手への9億ドルの誤送金により、シティグループは4億ドルの罰金と、控訴審で勝訴するまで敗訴した法廷闘争という代償を払った。
なぜ起きたのか
Flexcubeの支払い画面には複数の送金経路の選択肢があり、操作者は貸し手に代わって利息を支払うのではなく、貸し手への元本返済を選択した。
ストレートスルー処理により、実際に支払うべき約800万ドルの利息に比べて9億ドルが桁外れに大きいことを人間もシステムも検知しないまま、送金が実行された。
ニューヨーク州の「価値の給付による免除」ルールにより、貸し手たちは当初、誤りだと知りながら受け取った支払いを保持することが認められ、シティは業務上のリスクだけでなく法的リスクにもさらされた。
規制当局は後に、シティの決済業務全体におけるリスク統制と旧式技術に体系的な弱点があることを指摘した。
教訓
決済システムが自動実行される場合、1つの項目の設定ミスが取り返しのつかない9億ドルの送金となる。資金が動く前に、人間と機械の境界で意図を検証すべきである。
その後
2022年の第2巡回区控訴裁判所の判断の覆しにより、貸し手たちは最終的に資金を返還せざるを得なくなったが、2年にわたる争いは資金を拘束し、銀行が決済システムのリスクをどう考えるかを一変させた。4億ドルの規制上の罰金は、シティグループを統制と技術の近代化に向けた複数年にわたるプログラムへと追い込んだ。「In re Citigroup (Revlon)」は今や、自動実行される決済システムにおける1つの設定ミスが9桁規模の多年にわたる法廷闘争になり得るという、典型的な警告として教えられている。
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出典
- Revlon — Wikipedia (Citi's $900M mistaken wire to Revlon creditors) en.wikipedia.org
- Brigade Capital Management — Wikipedia (the mistaken-payment lawsuit and Feb 2021 ruling) en.wikipedia.org
- In re Revlon, Inc. — CourtListener case docket courtlistener.com