何が起きたか
1982年創業のデンマークのジュエラー、パンドラは、手頃な価格で顧客が自分好みにカスタマイズし、後から追加していけるチャームブレスレットという、親しみやすい提案で世界的な事業を築いた。チャーム1個あたり50〜150ドルという価格設定により、パンドラは特別な機会がなくても自分用や贈り物として買えるジュエリーだった。同社は2010年に上場し、当時デンマーク最大のIPOとなった。
上場直後、経営陣は高級路線への転換を決めた。新コレクションは金やダイヤモンドを用いた高級志向のデザインで、中核のチャーム価格帯を大幅に上回る価格だった。この戦略はブランドを高め、平均取引額を増やすことを狙ったものだった。しかし実際には、パンドラの事業を築いてきた顧客を混乱させ、遠ざける結果となった。
結果は劇的だった。パンドラの株価は2011年に80%近く下落した。8月2日、同社は市場に対し、30%の売上成長予測を達成できないと伝えた。通年では前年並みにとどまり、売上高は2010年の6,666百万デンマーク・クローネに対し6,658百万デンマーク・クローネだった。パンドラ自身の年間報告は、そのメカニズムについて率直に述べている。価格引き上げは「2011年の当社の販売量に重大な悪影響を及ぼした」という。経営陣は方針を転換し、2012年1月に一部価格の引き下げを発表して、手頃なチャーム事業に再び注力した。2014年までに売上高は190億デンマーク・クローネまで回復した。
何を犠牲にしたか
高級路線へ移行するために価格を引き上げたが、販売量が急減し株価は80%近く下落した。回復のために2012年に価格を引き下げた。
なぜ起きたか
パンドラの顧客は手頃でカスタマイズ可能なジュエリーを求めて来ていた。高級路線への転換は、まだ顧客ではなかった人々にとって商品を変えてしまう一方、既存の顧客を遠ざけた。
IPOにより成長を示す圧力が生まれ、経営陣は販売量よりも価格の引き上げを選んだ。これは、親しみやすさを基盤とするブランドにとって誤った手段だった。
高級ジュエリー市場にはすでに強固なプレーヤー(ティファニー、カルティエ)が存在し、パンドラにはその価格帯での伝統や信頼性がなかった。
株価の80%暴落は、市場がこの戦略をいかに完全に拒否したかを反映している。これは軽度の未達ではなく、顧客を根本的に読み違えたことを示している。
教訓
ブランドが親しみやすさを基盤としているなら、高級路線への移行はそれを築いた顧客を捨てることになる。パンドラの購入者は金やダイヤモンドではなく、もう1つの75ドルのチャームを求めていた。
その後
パンドラは中核のチャームブレスレット事業に戻ることで回復した。売上高は2014年までに190億デンマーク・クローネに達した。同社は2,700店舗以上を擁し、世界規模で事業を続けている。2011年の暴落は、手頃な価格帯の高級品分野における、IPO後の戦略的過剰拡大の教科書的な事例として挙げられている。
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出典
- Pandora (jewelry) — Wikipedia (IPO 2010, Denmark's largest; shares fell ~80% in 2011 after shift to higher-end designs alienated core customers; revenue DKK 19B and net profit DKK 3B+ by 2014; 2,700+ stores) en.wikipedia.org
- Pandora A/S — 'Pandora announces its financial results for 2011', company announcement, 21 February 2012 (revenue DKK 6,658M vs 6,666M in 2010; price increases hit volumes; price reductions announced January 2012; the 2 August forecast revision) pandoragroup.com